フラメンコの曲種紹介

タラント -フラメンコの曲種を紹介するシリーズ7-

Tarantos(タラントス)は、2拍子系の鉱山の唄で、プロの踊り手なら誰もが挑戦し究めたい曲種です。

歌い手によってレトラの長さが変わるとても難しい曲種なので、練習生が習う機会はあまりないようです。

タラントスとは鉱山労働が始まった時の労働者の呼び名で、アルプハラと呼ばれるグラナダからアルメリアにかけての山岳地帯にある鉱山から始まり、彼らはその後、カルタヘナ、ハエン地方へと仕事を求めて移動し、その地域にあるファンダンゴの影響をうけてこの唄がうまれたという説があります。

またスペインの別の文献では、19世紀にハエンから発祥したのでは、という説もありますが確かな証拠は残されていません。

タラントというと、よくタンゴグループと勘違いされることがありますが、スペインのARBOL GENEALOGIO DEL FLAMENCO(フラメンコ系列図)では、タラントはファンダンゴグループのレバンテ(東スペインのアンダルシア地域)に属します。

 

 

 

|  踊りの構成(伝統的なスタイル例)

一般的によく踊られる伝統的なスタイル例は以下になります。

 

サリーダ

プリメラ・レトラ(一つ目の歌振り)

(ファルセータ)

セグンダ・レトラ(二つ目の歌振り)

(ファルセータ)

エスコビージャ

タンゴ(タンゴ・デ・グラナダがよく歌われます)

エストリビージョ(繰り返しのはけ歌)

 

私はタンゴの歌を3つくらいは歌ってもらいますが、タラントのレトラがかなり長いので、タンゴのレトラをいくつも歌ってもらうと1曲が13~15分とかなり長くなります。

劇場でもタブラオでも1曲の時間制限があると、タンゴのレトラはひとつで終わらせます。

 

 

|  レトラの長さについて

 

タラントはレトラの長さが変わるのが普通です。2拍で切り替わることがあるので他の曲種より踊るのが難しい難曲です。フラメンコを極めるには、このタラントとシギリージャは必須です。

 

レトラの長さとバイレの構成について以下解説します。

 

一つ目のレトラは

最初のverso(行詩) mi muchacho がよく歌われます。

ですが、違うレトラが歌われることがあるのでメロディーをよく聞きながら踊りましょう。

このメロディーが落ちるとギタリストがわかりやすくしめるか歌と一緒にフォードアウトみたいな弾き方になるので、そこにコンテスタシオン(レマーテと呼ぶ人もいます)の足を打ちます。

このコンテスタシオンの足は、大体決まったメロディーが弾かれます。

この最初のversoは、あまり長く歌わないことが多く1コンパスくらいです。

ギタリストがしめる前に足を打つこともありますが、練習生には難しいのでギタリストにわかりやすくしめてもらいましょう。

 

次のレトラから長さが変わってきます。大切なのはメロディーをよく聞くことです。メロディーをよく聞いてメロディーが落ちたらギタリストにわかりやすくしめてもらい二つ目のコンテスタシオン(レマーテ)を打ちます。

伝統的スタイルでは、コンテスタシオンの足の時に決まったメロディーが弾かれるので、そのノリにきちんとあわせながら足を打ちます。

 

この後のレトラは、一番長さが変わる箇所です。

落ち着いて歌を聞きながらマルカールして、aaaaaaaaと盛り上がるところで一緒に足を打ちます。足をたくさん打つと歌い手も一緒に長く歌います。この足はコンテスタシオンではないので勘違いしないようにしましょう。

このタイミングは慣れれば難しくないのですが、自信がないと難しいのでエンサージョ(リハーサル)をきちんとしましょう。

最後はゆっくり歌われ、この長さも変わります。

 

つまり、一つ目のレトラは大きく3つのブロックにわかれるということです。

 

レトラ

一つ目のコンテスタシオン(レマーテ)

レトラ

二つ目のコンテスタシオン(レマーテ)

レトラ

 

練習生の中には、ひとつのレトラなのに、レトラが3つあると勘違いする人がいます。

ひとつのレトラが3つにわかれている、ということを理解しましょう。

二つ目のレトラも同じで3つのブロックにわかれます。
歌のメロディーが落ちるところをよく聞いてコンテスタシオンをきちんと打てるようになりましょう。

 

かなり前ですが、あるタブラオで若手の人とご一緒させてもらった時に、「私はタラントを踊れるからエンサージョなくて大丈夫です」と言った人がいて、本当に大丈夫かしらと心配しましたが、その予想は的中してしまい、その若手の人は本番で歌と全然合わなくて、後ろでパルマを叩きながらどうしてあげることも出来ず、可哀そうでした。

「発表会やライブではいつも踊れていたのに」と、本人はかなりショックだったようです。

経験の浅い人は、発表会などで踊る時、先生がパルマでコントロールしてくれることに気づかず、もしくは歌い手が気を使ってあわせてくれることに気づかず、自分は踊れていると勘違いする人がいます。

タブラオなどで踊る時は、事前エンサージョを必ずして歌とあわせて踊れるようにしましょう。

 

 

|  衣装

 

「タラントは地味な色の衣装で踊らないといけない。鉱山の歌だから」

スペイン人アーティストたちからはこう聞いたことがあり

確かにこげ茶や紺色、濃い色の紫色など暗めの色の衣装で踊るのが伝統的スタイルです。

ただ、赤の衣装だけは派手でも許される色です。

  • この記事を書いた人

松本真理子

Mariフラメンコ教室を主宰しながらフラメンコの魅力をブログで発信中。 フラメンコの聖地スペイン・へレスの伝統ある”ペーニャ・ラ・ブレリア”でメインのソリストとして出演を果たし、2019年にはへレスの国際的なフェスティバルの初日にラ・グアリダ・デル・アンヘルにて松本真理子リサイタルコンサートの快挙を成し遂げ、2021年第2回フラメンコWebフェスティバルにて動画作品”el Canal”が総合評価部門で入賞、関西テレビ「よーいドン」番組などのメディアでカリスマとして紹介された大阪のフラメンコ舞踊家。

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