フラメンコの曲種紹介

ソレア・ポル・ブレリア -フラメンコの曲種を紹介するシリーズ3-

ソレアをブレリア調の早いテンポにしたものをSoleá por bulerías(ソレア・ポル・ブレリア)といいますが、これはバイレ(踊り)の概念でいうとテンポ感のことで、つまりソレアのゆっくりなテンポを少しあげて踊るということです。
ブレリア・ポル・ソレアは、ブレリアの早いテンポをソレアのように少しテンポを落として踊ります。
日本では、ソレア・ポル・ブレリアのことをソレポルと略語で呼ぶことが多く(スペインでは略語で呼びません)、即興で踊りやすいパロ(曲種)のため、タブラオで好んで踊られます。

スペイン人アーティストの多くが、「ソレア・ポル・ブレリアは野獣のように踊れ!」と言いますが、それは人間が本来持っている動物的本能を目覚めさせ、野獣のように力強くエネルギッシュに踊れ!という意味です。
そう、この曲は野獣のように力強く踊らなくてはいけないので、女性らしいエレガントな踊りが苦手な肉食系には向いています。

ソレアはゆっくりなテンポで踊るためフラメンコ歴の浅い人はブラソのラインがだせないなど粗が目立ちますが、ソレア・ポル・ブレリアは少し早いテンポで踊るのでソレアほど粗は目立たず、見る側も退屈せずに見やすいため練習生にはお勧めの曲種です。

 

| 踊りの曲の構成(伝統的なスタイル例)

一般的によく踊られる伝統的なスタイル例は以下になります。

サリーダ
プリメラ・レトラ(一つ目の歌振り)
(ファルセータ)
セグンダ・レトラ(二つ目の歌振り)
(ファルセータ)
エスコビージャ
ブレリア

踊り手によってはレトラを3つか4つ踊る人もいますが、練習生が習う曲構成はレトラ2つが一般的です。

 

 

| 踊りの曲構成の解説

ソレア・ポル・ブレリアは、ソレアやアレグリアスと同じく3拍子系の12拍で1コンパスで、アセント(アクセント)は
⑫ 1 2 ③ 4 5 ⑥ 7 ⑧ 9 ⑩ 11
と、変拍子です。

サリーダ(出だしの歌)は、3~4コンパスが一般的です。

一般的なレトラの長さは7コンパスですが、他の曲と比べるとレトラの長さは変えられます。
フラメンコ界を代表する著名なカンタオール ダビ・ラゴスによると、ソレア・ポル・ブレリアのレトラは3versos(3行詩)と4versos(4行詩)の両方を歌うことができ、最初のversosはコンパスの長さを変えられるそうです。

3versosのレトラ
1コンパス
1コンパス(コンテスタシオンもしくはレマーテ)
3コンパス
2コンパス
合計7コンパスで、プリメラ・レトラでよく歌われる長さです。

4versosのレトラ
2コンパス
1コンパス(コンテスタシオンもしくはレマーテ)
4コンパス
2コンパス
合計9コンパスで、セグンダ・レトラでよく歌われます。

最初のversosは長さを変えられるので、例えば3versosを以下のように変えられます。
2コンパス(最初のversos)
1コンパス(コンテスタシオンもしくはレマーテ)
3コンパス
2コンパス
合計8コンパスです。

つまり、ソレア・ポル・ブレリアのレトラの長さは、7コンパス、8コンパス、9コンパス、10コンパス、11コンパスまであるということです。
カンタオールに好きに歌ってもらうのがベストですが、レトラの長さが変わって即興で踊れない人は、事前にレトラの長さを何コンパスと指定した方がいいでしょう。

ソレアと違ってソレア・ポル・ブレリアはテンポが速いので、レトラだけでは間がもたないことがありレトラの後にファルセータをいれるのが一般的です。
この後に少し足を打ちシエレでしめて、エスコビージャにはいるパターンと、しめずにそのままエスコビージャにはいるパターンと二つあります。これは踊り手の好みで変えられます。

エスコビージャは、踊り手の見せ場のパートです。
センシージョのリズムでコルト・コルト・ラルガのリズム構成が一般的です。
コルトとは短い、ラルガは長いという意味で、コルト(6拍)・コルト(6拍)・ラルガ(12拍)になります。このリズム構成のパターンを覚えると、振付がすぐとれるようになります。
エスコビージャは1から始まりますが、ブレリアにつなげるため途中12スタートのパソに切り替え、テンポをあげてブレリアのパートにはいります。

このブレリアのパートはレマーテで抜けた後、ファルセータをいれたり、タパオのパートをいれたり、すぐにブレリアのレトラをいれたり、その場の空気で変えられます。これがタブラオ・フラメンコの魅力の一つです。

ブレリアのレトラは、ソレア同様自由なスタイルで歌われます。一番多いのはブレリア・デ・へレスでメディアコンパスで歌われ、レトラは2つか3つくらい踊り、最後は昇華するようにテンポをあげてエストリビージョで終わらせるのが一般的なスタイルです。

 

 

| テンポの目安

どれくらいのテンポで踊るのがいいのか?疑問に思う練習生は多いと思います。

練習生の場合の目安として
レトラは♪140~155くらい、ブレリアは♪180~200くらいです。

プロの目安は
レトラは♪155~165くらい
ブレリアは♪200~220くらいで、エストリビージョは♪250~300くらいです。

 

| 衣装

ソレアよりは少し自由ですが、あまり明るい華やかな衣装ではなく、黒や茶色、紺色、青、赤など水玉柄が好まれます。
あまり派手なピンク色や黄色などは避けた方がいいでしょう。もしファルダに明るい派手な色がはいった柄ものの場合、上のブラウスは黒にするとバランスがよくなります。

赤の衣装は、いろんな曲種で使えるのでとても重宝します。
衣装が自由なお教室に所属されている方は、是非赤の素敵な衣装をゲットしてください。

  • この記事を書いた人

松本真理子

Mariフラメンコ教室を主宰しながらフラメンコの魅力をブログで発信中。 フラメンコの聖地スペイン・へレスの伝統ある”ペーニャ・ラ・ブレリア”でメインのソリストとして出演を果たし、2019年にはへレスの国際的なフェスティバルの初日にラ・グアリダ・デル・アンヘルにて松本真理子リサイタルコンサートの快挙を成し遂げ、2021年第2回フラメンコWebフェスティバルにて動画作品”el Canal”が総合評価部門で入賞、関西テレビ「よーいドン」番組などのメディアでカリスマとして紹介された大阪のフラメンコ舞踊家。

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