フラメンコの母と呼ばれるSoleá(ソレア)はSoledad(孤独)という言葉から発祥し、12拍で1コンパスの3拍子系を代表する曲種で、ソレアの原型は Cañas(カ―ニャ)だといわれています。
カーニャは曲として発展しませんでしたが、ソレアはアンダルシアの各地域で独自のスタイルをうみだした為、フラメンコの中で最も重要な曲種の一つになりました。
ソレアの種類
Soleá de Triana(ソレア・デ・トゥリアナ)
Soleá de Cádiz(ソレア・デ・カディス)
Soleá de Jerez(ソレア・デ・ヘレス)
Soleá de Utrera (ソレア・デ・ウトレラ)
Soleá de Lebrija(ソレア・デ・レブリハ)
Soleá de Córdoba(ソレア・デ・コルドバ)
Soleá de Alcalá(ソレア・デ・アルカラ)など
踊り歌でよく用いられるのは、ソレア・デ・アルカラです。
セビージャ郊外の街アルカラをルーツとしていて、歌の長さが決まっているので踊りやすいからです。
ソレアの踊りに関する特徴として、
悲しみや苦しみに耐え昇華し、最後は強く生き救いを見いだすというストーリーがあり
最後は必ずブレリア系のテンポの速いカンテでしめます。
前半のレトラはゆったりとしたテンポで踊るため、コンパス感がなく踊りの基本が出来ていないとタメとコラヘで踊ることが難しい曲ですが、フラメンコを習っていれば誰もが踊ってみたいと憧れる曲です。
| 踊りの曲の構成(伝統的なスタイル例)
フラメンコ舞踊は曲の構成を好きに変えることが出来ますが、一般的によく踊られる伝統的なスタイル例は以下になります。
サリーダ
プリメラ・レトラ(一つ目の歌振り)
セグンダ・レトラ(二つ目の歌振り)
エスコビージャ
ブレリア
| 踊りの曲構成の解説
サリーダ(出だしの歌)は、3~4コンパスが一般的です。
アルカラのレトラは4versosといって
2コンパス
1コンパス(コンテスタシオンもしくはレマーテ)
4コンパス
2コンパス
つまり合計9コンパスで歌われます。
プリメラ・レトラはゆっくり重く歌われるので、あまり激しく足をうたない方がいいです。
それは、カンタオールを尊重することでもあります。
セグンダ・レトラは、カンテと一緒になりペソ(重さ)を忘れずに盛り上げていきます。
12拍で1コンパスですが、アセント(アクセント)は
⑫ 1 2 ③ 4 5 ⑥ 7 ⑧ 9 ⑩ 11
と、変拍子です。
エスコビージャは、踊り手の見せ場のパートです。
最初はドブレ・ティエンポが一般的で、そこからセンシージョのリズムに変え、テンポをあげてブレリアにつなげます。
このドブレ・ティエンポに関する解説は、この解説動画をご覧ください↓。
この動画の5:00くらいからドブレ・ティエンポを分かりやすく説明しています。
また、タブラオで踊る前の事前準備についてなど徹底的に解説していますので、是非参考にしてください。
ブレリアは、ブレリア・デ・ロマンセかブレリア・デ・へレスを歌うのが伝統的スタイルでしたが、スペインのタブラオではここ数年、自由なスタイルで歌われるようになりました。
プロは、ブレリアのレトラを2つか3つくらい踊るのが一般的ですが、踊るときに時間制限がある場合はレトラを1つとエストリビージョで終わらせることもあります。
悲しみや苦しみを表現するシギリージャと違って、このソレアはもう少し自然な感じで踊るように、と著名な舞踊家コンチャ・ハレーニョは解説していました。
悲しみや苦しみに耐え昇華し、最後は強く生き救いを見いだすというストーリーがあるため、後半のブレリアは明るく踊る人が多いです。
フラメンコの女王と呼ばれるマヌエラ・カラスコも、ソレアの後半は笑顔で踊っています。
| 衣装
悲しみや苦しみ、孤独がテーマなので、あまり明るい華やかな衣装ではなく、黒や茶色、紺色など重い地味な色で踊るのが一般的です。
| 踊りの見本動画
見本となる動画は、フラメンコ界を代表するサラ・バラスのソレアです↓。
まだサラが若いころの映像ですが、カッコよくて何度も見て勉強した映像です。
現在プロで活動中の人なら、誰もがサラの踊りを研究していると思います。
↑フラメンコ界を代表するコンチャ・ハレーニョのソレアもご紹介します。
マントンとバタの技がすごいので、是非ご覧ください。
ソレアといえば、マヌエラ・カラスコやエバ・ジェルバブエナの踊りも有名です。
見本となる映像を頭の中に焼きつけて上達につなげてください。